お尻を触られた、性的な発言で不快にさせられた。これらはセクシャル・ハラスメントと言い、今は社会的にも許されない雰囲気が高まっています。当然、上司から部下に対してそのような行為を働けば、罰せられます。犯罪にはなりませんが、社会的な制裁が加えられるのです。
しかし、このセクハラの定義は曖昧で、グレーゾーンが存在するのもまた事実。「受け取り手がどう感じたか」が問題なのですが、周囲の人が「いや、それは違うよ」「いやいや、セクハラでしょう」と意見が分かれる事案もあります。
では、この曖昧な境界線、はっきりさせる術はないのでしょうか。
今回は、「これってセクハラ?」と判断に苦しんだときに使える、セクハラの境界線についてご紹介します。
1.積もり積もってセクハラになる
たとえば、ちょっと体が触れて、お尻が当たっただけではセクハラになりません。
セクハラというのは、その相手が「セクシュアルな思考」を持ったときに行動に出ることを言います。
しかし、そんな思考かどうか見ただけではわかりません。そのため、相手が「そんなつもりはない」といくらでも言い逃れができるものでもあります。
セクハラは突発的なもの、という印象があるかもしれませんが、前後関係をよく考えなければなりません。普段からセクハラ発言が多い人は、突発的な言葉もセクハラになりますし、もし、それによって性的な嫌がらせを受け取り手が感じたのならば、それはセクハラになります。
その一瞬を切り取って判断するのではなく、前後関係、状況を冷静に見ることが必要です。
2.セクハラを受けたと感じたらすべてセクハラ
大事なのは、セクハラというのは「受け手がセクハラと感じたら、セクハラとなる」ということです。電車内の痴漢も、「触られた」と通報した側が有利であるのと同じです。職場で上司に「彼氏いるの?」などと質問されたことに関しても、「嫌な気分」になったのであれば、それはセクハラとなります。
ただし、だからと言って「彼氏がいるかどうか質問されました!セクハラされました!」とすぐに大きな声をあげるのは賢いやり方ではありません。
先程も言ったように、セクハラは積もり積もって形を表すもの。
もし、気になるようなら、日記帳などに、日付と時間、場所と発言内容をメモしておいて、証拠を残しておくようにしましょう。
3.セクハラは我慢するべき?
実際、私も以前の職場で、上司がお尻を触る人でした。誰か特定の人のお尻を触るのではなく、みんなのお尻を触るという、いわゆる公認セクハラオヤジだったのですが、誰も声を上げる人はいませんでした。
本来なら、「やめてください!」と騒げばいいものですが、職場の空気というのもありますし、いやらしい触り方というのとは違い、冗談めいた感じもあったので、なんとなくスルーしていました。
ここでひとりで「セクハラだ!」と騒ぐのは、ちょっと違うな、と思いました。かと言って、嫌なのに我慢する、というのもどうかと思います。そのため、「なるべくその上司に会わないようにする」という方法を選びました。
「これはセクハラだ」と自覚できたからこその対処法です。
セクハラは我慢してはいけません。だからと言って、すぐ訴訟する!ということでもありません。
できるなら、信頼できる周りの人達に協力してもらって、これ以上被害に遭わないように自分の身を守る手段を講じましょう。
4.セクハラの境界線とは
セクハラの境界線を決めることができるのは、セクハラの受け手です。意図したセクハラか、意図していないセクハラかは、問題ではありません。ただし、そこには根拠も必要です。なぜ性的な接触であると判断したのか、なぜその発言で性的な不快感を感じたのか。
また、「セクハラを受けた=訴訟」のように、直結させるのではなく、まずは狭い範囲内で解決できる道を模索しましょう。
また、“セクハラが当たり前になっている職場環境”であるのなら、その中に順応する道を選ぶよりも、飛び出す勇気と覚悟が大事かもしれません。
おわり
今も、セクハラの境界線の上で地団駄を踏んでいる女性を多く見かけます。
「これってセクハラかな」と思うのなら、それはセクハラで間違いないです。曖昧な態度を見せると、相手に隙を与えることになりますから、「どうしよう」ではなく、何に対しても「セクハラと判断しますよ?」という態度で臨みましょう。