映画『ハドソン川の奇跡』の来日記者会見が9月16日(金)、ザ・リッツカールトン東京で開催され、主演のトム・ハンクスが共演者のアーロン・エッカートと共に出席した。トム・ハンクスは、お得意のジョークで会場を大いに盛り上げながら、初めてタッグを組むクリント・イーストウッド監督との製作秘話、作品に込めた熱い思いなどを語った。
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初タッグを組んだ偉大なる俳優で監督のクリント・イーストウッドの仕事を大絶賛!
冒頭でクリント・イーストウッド監督からご挨拶程度のシンプル過ぎるコメントのビデオメッセージが流れ、会場から失笑がもれると「監督の仕事ぶりはいつもこんな感じだったということがよくわかりますよね。彼は口数が少なくて、寡黙な男なんです。でも、ちゃんと言葉を選んで大事なことをいっているんですよ」とハンクスがフォロー。さらに「輝かしいキャリアとあの表情のせいで、現場はいつも張りつめていました。監督はいつもこういう(渋い)顔をしているんですよ。しかも機嫌が良いときもなんです」とイーストウッドと同じような渋い顔真似をして見せて会場を笑わせた。
監督との初めての仕事はどうだったかという質問にハンクスは「彼は俳優としても、監督としても偉大な人です。特に監督になってからの作品は素晴らしいものばかりで、今世紀を代表する名作のうち、5~6本は彼の手によるものだと思っています。俳優のことが大好きで期待もしてくださるし、何より私たちキャストを本当に大事に思ってくださる方なんです」と監督を大絶賛。
実話である以上“真実のDNA”をしっかり伝えることを一番大切にした!
これまでも『ブリッジ・オブ・スパイ』や『アポロ13』などの作品で実在する人物を多く演じて来たトム・ハンクス。本作でも実在するサレンバーガー機長を演じたことに「特に実在する人物を意識して選んだわけではありません」としつつも、実話に基づく映画には「神話として残っている部分やどういう風に物語が解釈されているかということに興味があるんです。さらに私たちが知らない事実も隠されていて、2幕までは知っていたけど、その後には3幕や4幕もあった、というような面白さもあるから惹かれてしまうのです」と実話を演じる面白さについて語った。
さらに「実際に起きたことを映画作品にする上で、我々演じ手や監督は勝手な解釈や脚色で飾りつけをしてはいけないと思っています。ノンフィクションであることにこだわり、詳細にこだわり、“真実のDNA”がしっかり伝えられているかを大切にしながら作りました」と作品に込めた思いをコメントした。
「私は常にいい題材を求めています。作品を選ぶ上で一番重要なのは脚本だと思っています。今回、脚本家のトッド・コマーニキから渡された脚本には、たくさんのサプライズがあって、おそらく17分ほどの時間で一気に読切りましたね。今までたくさんのニュースで見て知っていたはずの事件の裏には、まだまだ私たちの知らない隠された事実があったのです。この脚本には観客としても予想もしていなかった場所に導かれました。そして演じてみたいと思いました。また私は俳優としても競争心が強い方です。共演者がアーロン・エッカートであることも素晴らしいことだと思いました」と一回り近くも違う年下俳優のへの競争心をあらわに、隣に座るエッカートに目を向けた。
事故機には日本人も搭乗していたことに驚き、本人と対面する!
さらに会見には、当時ハドソン川に不時着したUSエアウェイズ1549便に実際に搭乗していた日本人乗客の滝川裕己さんと出口適さんも駆けつけ「経験者が観てもとてもリアルで、事実が忠実に再現された作品でした」と率直な感想をコメント。
「まさか日本人の方が搭乗していたとは今日この会場で初めて知り驚きました」いうハンクスから「事故の後で荷物がちゃんと戻ってきたかどうか聞きたいです」という質問に「すべてきれいにクリーニングされ、ラッピングまでさてれて戻って来ました。しかもスーパーの会員券までちゃんと戻ってきましたよ」と笑顔で会場に答えた。
素晴らしい作品に出逢えたトム・ハンクス。3度目のオスカーを狙う!
トム・ハンクスの会見は、今回に限らずジョークを交えた笑いの絶えないものが多い。しかもスタッフのミスまでもジョークを交えてフォローしてしまう気配りも素晴らしい。監督はもちろんのこと共演者やスタッフ、作品へのリスペクトも熱く、オスカー俳優であることのおごりなど、まったく感じさせない気立ての良さも実に好感のもてる俳優である。この作品での自身3度目のオスカー受賞にも期待が集まる。そんな彼が演じてみたいと熱望した『ハドソン川の奇跡』は9月24日より公開。乞うご期待!!
撮影・文/宮本秀実(ドルフィンプロダクション)
『ハドソン川の奇跡』
2014年に公開した『アメリカン・スナイパー』に続く、クリント・イーストウッド監督が題材として選んだのは、2009年にニューヨークのハドソン川で実際に起こった旅客機事故からの生還劇と、その知られざる真実である。
2009年1月15日、極寒のニューヨーク。160万人が住むマンハッタン上空850メートルで突如起こった航空機事故。全エンジン完全停止。制御不能。機長は高速で墜落する70トンの機体を必死に制御し、目の前のハドソン川に着水させ“乗員乗客155名全員無事”という奇跡の生還を果たした。着水後も浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は国民的英雄として称賛される。だが、その奇跡の裏側では彼の判断をめぐり国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた…。
この作品でのトム・ハンクスの3度目のオスカー受賞にも期待が集まる!
監督:クリント・イーストウッド
出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://www.hudson-kiseki.jp
予告編:
9月24日(土)丸の内ピカデリー 新宿ピカデリー他全国ロードショー!
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