「私がひっかかるはずはない」…みんなそう思っています。または、デートDVをするような人はそんなにたくさんいない、もしいたら、きっと付き合う前に気がついている。
本当にそうでしょうか?では、なぜ被害に遭う女性は後を絶たないのでしょうか。ある特定の女性だけが狙われているからなのでしょうか?
いいえ、違います。誰もがデートDVの被害にあう可能性はあり、付き合う前はあんなに優しかった彼の態度が変容する可能性は十分に考えられます。
また同時に、デートDVの被害に遭いやすい女性や、デートDVから逃げられなくなってしまう女性の特徴があります。
今回は、そんなデートDVの被害に遭わないために、デートDVの加害者になりそうな男性を付き合う前にチェックするポイントをご紹介します。
デートDV…被害者にも非がある?
まず、「デートDV」とはどんなものか、と言いますと、一般的に「ドメスティックバイオレンス(通称DV)」は家庭内暴力のことです。
夫婦間での暴力、家族間での暴力を指します。これは、肉体的な暴力だけでなく、精神的な暴力も含みます。たとえば、夫が稼いだ給料を家に入れないとか、介護が必要な家族の介護をしない、というのもDVに含まれます。
デートDVは「家庭内の暴力」ではありません。まだ婚姻前のカップル間で起こる暴力です。婚姻前とは言え、そこには拘束力が働いています。
もちろん、書面での契約ではありませんから、どちらかが不履行(浮気とか)をしたところで罪に問われることはないのですが、「俺たち(私たち)付き合ってるよね」という関係は、十分にその個人を拘束しうる約定です。
そのため、「俺と付き合っている彼女だから暴力は許される」という加害者側の思い込みや、暴力を振るわれても“耐えなければいけない”とか、“この関係を維持しなければいけない”と思い込み、理不尽な暴力から逃れられない。これがデートDVです。
被害者に落ち度があるのか?
では、デートDVの被害に遭ってしまった女性は、たまたま運が悪かったのか。もしくは、被害者側に何か落ち度があって起こってしまった不幸なのか。
世の中には、“物事の解釈の違い”ということがあります。たとえば、「赤信号は絶対に止まらなければいけない」と思っている人もいれば「誰も通っていない道だったら無視してもいい」と思っている人もいるでしょう。
このような微妙な解釈の違いは、どんな人にでもあります。では、ふざけたつもりで叩く人は、「暴力を振るおう」と思って手を上げているでしょうか。また、こどもの躾として叩く親はそれを暴力だと思っているでしょうか。
被害者は、このような“解釈の違い”に苦しみます。ただ、言えるのは、どんな理由があっても暴力をふるってはいけないし、振るわれてもいけません。
パートナーから、“どんな理由があっても”暴力を振るわれてはいけない、という視点から見れば、被害者に落ち度があるのではなく、あくまで“暴力を振るう側の認識に問題がある”と言えるのではないでしょうか。
デートDVに発展しそうな男チェック
最近の傾向で多いのが、「デートDVはモラハラとセットである」というパターンです。「モラハラ」とは、モラルハラスメントの略で、パートナーに精神的に支配されることを意味します。
この“モラハラ気質の人”というのは、お付き合いする前にある程度特定できます。では、以下にチェック項目をご用意しましたので、お付き合いする前の気になる男性や、恋人がいる人はチェックしてみましょう。
- 外交的で外面がよく本音を隠している(人当たりがよく印象がいい)
- 普段は物腰が柔らかいが突然荒い口調になるときがある
- 過去の思い出話をして同情を引こうとする
- 自分の方が頭がいいと思っている(学歴なども含め)
- 他人を馬鹿にするような雰囲気がある
- 言葉や態度を変えて人を追い込む傾向がある
- 「○○するべきだ」という言い方をする
- 「普通さ~〇〇だよね」が口癖である
- 自分と違う意見は尊重しない、下に見る
- 機嫌が悪いと無視をする
- 周囲の目を異常に気にする(保身)
- 何事も公ではなく密室で行おうとする
彼らは基本的には外面が良く、自分から誰かに危害を加えることなどできない弱い人です。しかし、「相手がパートナーであるから許される」と勘違いをして、暴力を振るう=甘え、による加害が多いのです。
適度な距離を踏み越えて入ってくる人
そもそも、仲があまりよくない人や初対面の人に突然暴力を振るうことは、暴力事件です。それは、交際していようが婚姻関係にあろうが同じなのですが、問題は距離です。
友達でもそうですが、「ここから先に踏み込んではいけない」という距離があります。たとえば、夫婦であってもお互いに日記をのぞき見てはいけませんし、それぞれの人間関係に口出ししてはいけないでしょう。
デートDVの加害者の多くは、その“適度な距離を守れない人”です。また、被害者の多くは、「適度な距離感がわからない、もしくは踏み越えられたことに気がつかなかった、自ら踏み越えて来られることを望んだ」のどれかに当てはまります。
付き合い始めてから突然豹変する、という人も確かにいます。いますが、実際被害に遭ってから「そういえば、付き合う前からなんか変だと思った」「友人にあの男やめときなって言われてた」というパターンが多いのも事実です。
「信用していた人に裏切られた」というショックや、「自分で好きで選んで付き合ったんだから、自業自得じゃない?」と言われるのが嫌だ…と思っている人も多いですが、やはり、どんな人間関係においても、超えてはいけない一線というのは存在します。
恋愛感情が「甘え」や「依存」に発展してしまっては、それは適切な人間関係とは呼べないのだと思います。
これもデートDV?早い段階で気がついて逃げろ!
デートDVの被害に万が一遭ってしまった場合、早い段階で逃げる、関係を断つ、助けを求める、ということが大事です。
しかし、デートDVの初期の段階では、“被害者本人が、被害に遭っている自覚がない”ということが多いのが特徴です。では、どの段階で「これはデートDVだ!」と断定して逃げるのが良いのでしょうか。
「お前は〇〇だから俺に従ってればいいんだよ」(否定)
デート中の会話で「お前、ほんとドジだよな」みたいに言われることってあるかもしれません。しかし、それも悪化すると「お前はセンスが悪いから俺に従ってればいいんだよ」とか。
「お前の選んだ映画ってつまんねえよな」「お前の着てくる服っていつもダサいよな」など、個人を否定してくる発言が多くなってきます。
これは、徐々に精神的に支配する手口です。彼女は少しずつ自分の自信を奪われていきます。そして、“彼なしでは生きていけない状態”になります。
このように、精神的に支配していくデートDVは、殴られるなどの暴力と違って判別しにくいのですが、男性の発言が「否定的なもの」であることが増えてきたら逃げるタイミングです。
軽い肉体的暴力や性的な暴力も
彼氏だからと言って彼女の頭を叩いて許されるということはありません。また、付き合っているからと言って彼女にセクハラをしてもいいかと言えば、そんなことはありません。
このように、軽い暴力や性的暴力が行われる、ということも、すでに人として平等に扱っていない、自分の支配下に置こうとしている証拠です。
人前でお尻を触ったり、下着を見せることを強要することはもちろん、冗談のつもりで頭や背中を叩いたり、転ばせようとしたり、と言ったことも、広い意味では暴力です。
判断基準は“人権”にあり
当事者になると、基準が曖昧になってしまい「私の気のせいかも」とか「黙っていればなくなるんじゃないかな」と考えがちですが、そのときにはもう遅いです。
このとき一番傷つけられているのは、あなたの“人権”です。女だから、交際相手だから、年下だから、年上だから、年収が低いから、ということは理由になりません。あなたの人権を傷つけていい人など、この世にはいません。
そのため「これが暴力かどうかわからないけれど、私の人権が傷つけられたような気がする!」と思ったら、その時点で距離を置きましょう。
デートDVは時間が経過すればするほど解決が難しくなったり、ストーカーに発展したり、結婚して余計に逃れられないことになる可能性のあるものです。誰と交際するにしても、デートDVの匂いがしたら逃げる、相談する、ということを徹底しましょう。自分を守るのは自分です。