アライ(Ally)って言葉を利いたことがありますか?当然、人の名前ではありません。英和辞書で引いて見ると同盟国や支援者という意味になります。実は、アライ(Ally)は、LGBTでは無いけれどLGBTの人たちの活動を支持し、支援している人たちのことを言います。
Allyという言葉の成り立ち
最初に書いた通り、アライ(Ally)だけでは、支援者という意味で、LGBTの支援者という意味は含まれていませんでした。
米国で、LGBTの方々を支援し、ホモファビア(同姓愛に対する嫌悪や偏見を持つ価値観)や、テロノーマティビティ(異性愛が標準と考える価値観)の解消を促すための活動(Straight Alliance)が盛り上がるにしたがって、これらを支持する人がアライ(Ally)と呼ばれるようになりました。
なので、米国でも普通はストレートアライ(Straight Ally)と言います。文脈上誤解を受けない場合にアライ(Ally)が使われています。
日本に置けるLGBTの職場の現状
2015年11月に経済産業省の性同一性障害を持つ職員が、女性トイレの利用を認めないという同省に対して不当だとして国を訴えました。
彼女はLGBTのトランスジェンダーにあたりますが、同一性障害の診断は受けていたものの、女性への戸籍の変更はしておらず、一時期は女性トイレの利用を認めていたそうですが、他の女性職員からの強い要望もあり女性トイレの利用を禁止されたというものでした。
この訴訟は、日本ではじめてLGBTが職場に置ける処遇の改善を求める訴えとして大きな話題にもなりました。しかし、同じ課題を抱えて働く方は、日本の多くの職場で見受けられます。アライ(Ally)は、こういった方を支援しています。
ゲイストレートアライアンス(GSA)とは
アライ(Ally)の語源にもなっている、LGBTの支援活動の原点となったゲイストレートアライアンスは、1988年にアメリカマサチューセッツ州の高校で、生徒によって設立されています。
ゲイの生徒をいじめるたりセクハラを行う生徒に対して教育をすることを目的に立ち上げられました。その後、GSAは全米の学校に広がりますが、性的にそぐわないとの理由で禁じている学校もありました。
しかし、2007年に米国連邦裁判所が合法と判断したことから、全米で3,000を超える高校にGSAが設立されています。2015年末時点で日本の高校にGSAはありませんが、青森県の三沢米軍基地内の高校にはGSAがあります。
著名なアライ(Ally)と支援企業はあるの?
米国では、幅広いジャンルの著名人もアライ(Ally)として、LGBTの活動を支援しています。たとえば、歌手のライザ・ミネリ、俳優のブラッドピットはアライ(Ally)です。
日本でもNHKが虹色というLGBT向けのサイトを展開しており、その中の「今月のアライさん」というコーナーで歌手のソニンさんや、ミュージシャンのオオヤユウスケさんをアライ(Ally)として紹介しています。
米国企業のマイクロソフトは1993年からLGBTにも快適な職場環境を構築するためのコミュニティGLEAMを展開しており、2013年には日本マイクロソフトにおいても設立されました。
おわり
脳科学の知見では、先天的に同性愛者として生まれる人が一定の割合いることが分かっています。それは、本人の意志に関わらずLGBTに生まれてしまう人がいることを意味しています。
また、あるゲイのタレントが男のLGBTについて、「テレビはすべてオカマにしてしまっているけど、本当は、それぞれにすべて違う」という発言をし、LGBTに対する正しい理解が進んでいないことを示唆していました。
アライ(Ally)が、偏見やいじめの撲滅のために、最初に取り組みだしたことはLGBTに対する正しい知識を身に付けるための教育でした。私たちが正しく理解をしていなければ、LGBTの人に対してまったくお門違いな苦言や発言をしてしまっている可能性があります。
アライ(Ally)になる第一歩は、LGBTについて正しく知ることなのかもしれませんね。