職場での無視なんて、信じられない人もいるかもしれませんが、全然あります。挨拶しても顔すら見ずに無視、他の社員とは普通にコミュニケーションをとっていても嫌いな人の話だけスルー、飲み会に誘わない、仕事の報告をしても目も合わせない。嫌いな相手だけお菓子を配らない。無視する側は、ちょっとイラっとしたから、ムカつくことを言われたから、などがきっかけで簡単にスタートできますが、無視された側は、職場にいる間だけでなく、家に帰ってまで、生活そのものに心の痛みを抱え込んでしまいます。
ニュースでは子供のいじめが問題になっていますが、社会人になったからといってなくなるわけではありません。人に言えず、1人で苦しんでいる方の心が少しでも軽くなることを祈って、心理カウンセラーからのアドバイスをお送りいたします。
無視する人の心理とは
「挨拶しても無視される…」では、無視する人はどのような心理で無視をしているのでしょうか?無視する人の心理を見てみましょう。
嫌いだから態度で表す
あなたのことを嫌いだから無視をするケースがあります。性格が合わない、態度が気に食わない、など相手からあなたを見た結果、嫌いという分類になった場合無視するということがあります。価値観の違いや性格の不一致はどうしても起こりますが、自分でも合わないと感じた場合には、下手に関わらる必要性はありません。
話したくない
決して嫌いではないけど、あなたの話が長い・中身がない・くどい、などどこか会話をする面で不快な部分があるため無視をします。自分自身の会話の話し方やクセ、特徴や内容などでおかしなところがないか今一度思い返してみましょう。会話をしたくないと思われる理由にはあなたの言動や行動などが原因です。相手が言わないだけで、「関わり合いたくない」と思い、その結果無視しているということも考えられます。
無視されるなら○○しましょう
まずは実際にいただいた、お客さまからのご相談と五十嵐の回答をご紹介いたしますね。(内容は本人の了承を得たものです)仮のお名前で質問者さんをヨウコさんと呼ばせていただきます。
ヨウコさん(以下:ヨ)
「職場で、だいぶ年上の女性に無視をされていていてつらいんです。
トイレで会って挨拶しても無視されるので、化粧直しも行きづらくて。
他に誰もいない空間で、目の前で「おはようございます」って言っても、私が見えなかったみたいに通り過ぎるんです。
挨拶の声が小さいのかな、なにか失礼なことしたかなとか、いろいろ反省してみたんですが、どうしてそんなに嫌われるかわからなくて。。。
隣の部署のお局さんで、あまり話したこともないんです。同僚や他の先輩も、口では見方だと言ってくれても、お局には逆らえなくて見て見ぬフリです。
ロコツに無視されるのがツラくて、会社に行くのも苦痛になってしまいました。」
五十嵐かおる(以下:か)
「お局さんには、今でも挨拶しているんですか?」
ヨ:「はい、嫌われないようにってすごく気を使っています。でも会いたくなくてビクビクしています。」
か:「そうですか・・・」
か:「じゃぁ、ようこさんも彼女を無視してみませんか」
ヨ:「えっ?!それじゃぁ、もっと嫌われてしまいますっ」
確かに、そう思われる気持ちはわかります。
無視されやすい人って、嫌われるのが恐かったり、人に気を使いすぎてしまうタイプの方が多いんです。逆を返せば、気を使える、人に嫌なことをしない、いい人なんですけどね。人に好かれやすい反面、その性格に嫉妬をしたり、おっとりしている部分にイラっと感じたりする人もいるんです。詳しくは後半でお話しますね。
本当はお互いが傷ついている
ようこさんがお局さんに「おはようございます」と挨拶すると、彼女は無視をする。もちろん、ようこさんは傷つきます。ではこの時のお局の気持ちってどうでしょうか。気持ちがいい?快感?いえ、さすがに本人も無視したことに、少しはチクっとするんです。無視した自分=嫌なヤツかもって。
だったら無視しなきゃいいじゃない!!って周りからはツッコミ入れたくなるような状況ですが、挨拶を返すくらいなら無視するほうを選択するくらい、相手の何かが引っかかっているんでしょうね。しかも、無視したのは自分ですが、「チクっ」を感じさせたのはようこさんが挨拶してきたからと感じてしまいます。客観的に考えると意味不明ですが、読み進めてくださいね。
無視するお局さんの心境
嫌いな子に「おはようございます」と言われた→嫌いだから無視した→無視した私って嫌な人→「あなたが挨拶するから、私が無視しなきゃならないんじゃない!」by お局
もちろん本人も、これが正しいやり方だなんて思っていないはずなんです。でも彼女なりに何か理由があってのこと。それが「心に引っかかっている何か」に関係してきます。それを教えてくれれば気をつけるのに、と言いたくても、引っかかっていることを聞き出すのは残念ながら難しいです。
なぜかというと、その「何か」は自分でも向き合いたくないものだから。普段は心の奥に眠っている、黒くてドロドロした感情。小さい頃のトラウマだったり、嫉妬だったり、他の誰かから受けた傷だったり。ドロドロは人によって違いますし、程度の違いはあっても誰でも持っている可能性はあるものです。
例えば、可愛い子やブリっ子が嫌いな人だったら、自分は無理とか、女性っぽい世当たりはズルいとか、男性と気軽に話せることに嫉妬したり、もしかしたら元カレを盗られた女たちがそういうタイプだったという痛みが残っているのかもしれません。
他には仕事ができない、小さなミスが多い、派手な雰囲気が嫌いなら、親から「ちゃんとしなさい」「真面目に生きなさい」「おとなしくしなさい」と言われて育ったたものの、息苦しさを感じていたり、自由に生きてはいけないと思いつつも羨ましさも感じているのかもしれません。
無視するのはあなただけに原因があるのではなかった
こんなふうに、無視する人たちが向き合いたくないのは「無視している相手」だけじゃなくて、実は自分の中にある「向き合いたくないイライラ」も含まれているんです。
本当にようこさんが嫌な人だったら、会社どころか、今までの友達関係もうまくいかなかったはずなんです。でもそうじゃないですよね。職場でも普通に話せる友達はいるし、人間関係ぜんぶが上手くいかないわけでもない。ある特定の人だけに無視されるのであれば、ようこさんだけに原因があるわけじゃなくて、無視する人の心の奥にも何か原因があるのです。
誰もが持っている怒りスイッチ
知らないうちに、お局さんの怒りスイッチを押してしまっただけ。
えっ?押さなければ良かったと反省している?
うーん、それって難しいと思いませんか?
入社して、恐そうな人たちに「あなたの怒りスイッチはどこですか?ブリっ子?派手?適当?若さ?」とか聞いてまわったところで、まず教えてもくれません。さらけ出せるような傷なら、きっと治りかけています。ヒリヒリと痛くて外に出せないから、誰かが知らずに触れただけで、いきなり【無視】しなきゃならないような状態なんです。
空気の読める人、要領がいいと言われる人は、まわりの動きや接し方を見てそのスイッチを避けることができるのですが、すぐに真似してできるようになるものでもありませんしね。どこにあるかわからないスイッチにビクビクして過ごすのも窮屈です。
落ち込みやすいタイプに多いのが「自分が悪い」と思いがちな人です。友達の機嫌が悪くても、上司に理不尽なことで怒られても、恋愛が上手くいかなくても、まず1番に思うのは「わたしのせい」素直で謙虚なのです。
あなたのせいじゃないから・・・
でもね、これ以上傷つかないためにも、自分のせいにするのはもう止めて欲しいのです。
人間関係の悩みって、相手がいてこそ生まれるもの。そこには<自分の心の状態>と、<相手の心の状態>の2つが存在します。
人の心はロボットと違って、いつでも一定、誰でも同じというわけではありません。もし人の心を見える物体にできるとしたら、色も形も、ツヤも感触も、全然違うものになります。日によって状態も変わってきます。ひとつひとつ違う心の状態と、さらに違う自分の心が、いつも同じ状況で関わろうとすること自体、難しいんです。
合う人も、合わない人も、好きな人も、嫌いな人もいる。もしかしたら数ヶ月後は変わっているかもしれない。うまくいかないのは、自分の心がトゲトゲしていたり、格好が悪いからではなくて、ただ相性が悪いだけだったり、相手の心の状態に理由があるかもしれないんです。
おわりに
理由がわからなかったり、相手に対して失礼なことをした覚えがないのに、無視されたり、心ない態度を取られた時の対処法
「わたし、何をしちゃったんだろう?」と反省して、ご機嫌をとろうと気を使ったり、しつこくあいさつをしても、それは逆効果。火に油を注ぐようなものです。お局さんからすれば、何かしら理由があって苦手と思う相手が、何度も近寄ってきたらイラっとする回数が増えることになってしまいます。それに、自分が頑張るほどに相手に無視されたら、心がすり減ってしまいます。
やみくもに修復しようと近づこうとせずに、1度距離を置いてみる方法をおすすめします。信頼できる友達にありのままを相談して、状況を客観的に見てもらうと気持ちも軽くなりますよ。話す相手がいない時は、気軽にカウンセラーなど専門家にも相談してみてくださいね。
<自分の心の状態>と、<相手の心の状態>には違いがある
どうかみなさんが、やみくもに自分を責めたり、落ち込んだりすることが減りますように。
■まとめ
・大人でもいじめはある
・無視されたら、下手に出ないで自分も無視していい
・無視する相手には、行為とは別に心の痛みなど理由が考えられる
・無視される側だけが悪いのではない
・<自分の心の状態>と、<相手の心の状態>には違いがある